更新日:2011/04/25
「酒匂の選手観察日記」
こんにちは。
コンディショニングコーチの酒匂(サコウ)です。
3月11日、東日本大震災では甚大な被害が発生しました。
被災者の皆さまには心からのお見舞いを申し上げます。
日々刻々と発信される悲惨な映像、そして極限の生活の中でありながらお互いを気遣い助け合うお姿には心が痛みます。
こんな時に企業スポーツに携わる自分たちは何をすべきなのか、何ができるのか、ずっと考えていましたが答えはまだ見つかりません。
しかし、必ず訪れる復興の時、そしてその過程で、選手たちの活躍と頑張りが被災者の皆さまのお力になれるように、日々精進努力していきたいと思います。
今なお、懸命な復旧救助作業、医療活動は続いていますが、一日でも早く被災地の皆さまの安全と健康が確保されることを願っています。
まずは3月10日に行われた陸上部関係者の歓送迎会からです。
長い競技生活を終えた安藤選手と高校の後輩である尾崎選手。
また、選手のために寮の環境整備に心からご尽力いただいたスタッフの方々、感謝・感謝です。
そして新たな仲間が加わりました。
左から大槻選手、満枝選手、横沢選手、情野マネージャー。
元気いっぱいよろしくお願いします!
その後、奄美大島での強化合宿に入りました。
この時期の平均気温は20℃前後。
筋肉へ新たな刺激を入れて育てるには良好な環境です。
南の島では頻繁に強い風が吹いています。
観光に訪れる人たちには自然で気持ちいい風も、ランナーにとっては難敵です。
強風下でのトレーニングでは、走りながら心と体のバランスを保ち続けることは困難なのです…
しかし、この厳しい風の中に、闘う力を養うエキスも詰まっています。
不規則に強弱織り交ぜながら吹きつけてくる強風に立ち向かい必死にもがいていれば、今まで眠っていた深部の筋群も「生きるため」に目覚めてくるのです。
選手は日常的に、筋トレなどを各パーツに分けて行っていますがその過程では、走る力となる筋肉の協調性は生まれてきません。
「走る」という実践的なトレーニングを経て、それは少しずつ形になっていきます。
こうして苦しみ抜いて獲得した筋肉だけが、わが身を守るよろいとなり闘う力となっていきます。
強化合宿期間中、選手の一日は基本的に「走って食べて走って寝る」。
この繰り返しです。
そんな単調な生活の中で迎える食事の時間は、楽しみなひとときです。
練習で消耗した身体の修復、そして明日への栄養補給、また、練習という張り詰めた環境から気持ちを「ホッ」と一時解放したりと、とっても大切な時間です。
この日のメニューは、とんこつのおでん風煮込み(鹿児島の郷土料理の一つ)、肉じゃが、サラダ、もずくの酢の物、マンゴーの漬物、玄米、フルーツです。
同じ内容の食事を取っても、食べるときの精神状態の良し悪しで栄養分の吸収力は変わってきます。
感謝と笑顔でおいしくいただくことも疲労の回復を考えれば大切なトレーニングです。
男子の選手では、ハードトレーニングの後など内臓疲労から食事を取れない人を見かけますが、わがチームにはそんな人は一人もいません。
こちらが心配するぐらい、食欲旺盛元気いっぱいです(笑)。
競技場
競技場のアイドル増根さんと
長距離走のアスリートにとって大切なことは、体の強化と「脳」の強化です。
厳しいトレーニングにおびえず、立ち向かう勇気を与えてくれたり苦しい場面でじっと辛抱できるのは、脳からの指令によるものです。
マラソンレース後から再スタートする尾崎・勝又選手
マラソン調整中の野尻選手
体を強化するということは、今の自分を超える作業になります。
それは当然、苦しい日々の繰り返しになりますが、その都度脳は経験値を高め、体にいろんなヒントやシグナルを送り守ってくれています。
脳力が高まり安定してくれば、身体能力は自然に強化されていきます。
ありがたいことです。
海に面したロードコース
酒匂メモ
イライラすると呼吸が浅くなり、お腹の筋肉は硬くなります。
「腹が立つ」という言葉は、腹直筋(下腹中央の筋肉)が硬くなることからきている、という説もあります。
そんな時は目を閉じて、鼻と口から大きく息を吸って下腹まで息を送り込み、ちょっと踏ん張り「ハー」と口からゆっくり吐き出す。
これを4~5回繰り返すと、硬かったお腹の筋肉が柔らかくなり呼吸が楽になりますよ。
(仰向けに寝て両ひざを曲げ、硬くなったお腹に両手を添えて行うとさらに実感できます)
ロードレースシーズンも終わり、これからトラックレースも始まります。
冬場の走り込み、そして強化合宿での努力を形に変えるときです。
皆さんご期待ください!