第一生命グループの「健康経営」は、社員にとどまらず、お客さま、社会全体の健康増進を目指しています。第一生命グループは、創業来、生命保険事業を通じて、お客さまの生活に安心をお届けすると同時に、健康増進に寄与する経営を行うことで社会的使命を果たしてきました。そして、「人生100年時代」の到来で、平均寿命と健康寿命のギャップという重大な社会課題に直面する中、今、「すべての人々のwell-beingへの貢献」に挑戦しています。社会的使命を果たす担い手である「社員一人ひとりのwell-being」を実現するためにも、これからも、社員の健康増進を継続・強化してまいります。
第一生命グループでは、2011年7月に「第一生命グループ健康宣言“いきいきダイイチ110”」を宣言し、2013年4月には「第一生命グループ企業行動原則」に「健康増進」を加えるとともに、すべての社員に適用される「健康増進基本方針」を新たに制定しました。さらにチーフサステナビリティオフィサーが委員長を務める「グループサステナビリティ推進委員会」にて健康経営の取組を報告し、PDCAを回しています。
~労働安全衛生の取組み方針~
第一生命は労働安全衛生法をはじめとする関連法令を遵守するとともに「安全衛生管理規程」を定め、社員がwell-beingに働くことができる職場環境維持を目的に安全衛生活動を実施しています。産業医、衛生管理者、労働者の代表から選出された委員で構成される衛生委員会において安全衛生・こころの健康づくりに関する年間計画を定め、各事業所の健康課題解決、労災等防止対策に向けて協議し、目標達成にむけた取組みの実施により改善を図っています。また、内部監査部門、リスク管理部門等と連携し、衛生委員会が適切に開催されるよう、内部統制セルフ・アセスメント(CSA)を実施しております。
人事担当役員を責任者とし、人事部を中心に第一生命ホールディングスとも連携し、社内・社外と協働し、社員well-beingの実現に向けた取組みを推進しています。
第一生命グループでは社員well-beingの実現を目標に、健康経営戦略マップに基づき、健康施策を実行するとともに、効果等も踏まえて定期的に見直しを検討してまいります。
【健康経営戦略マップ】
定期健康診断後の再検査受診勧奨と事後措置保健指導の徹底、健康保険組合が実施する特定保健指導を会社として全面的にバックアップすることで、生活習慣病重症の早期対応、重症化予防に取り組んでいます。
各種がん検診の受診率向上にも力を入れており、検診費用の全額補助をおこなうとともに、乳がん検診はマンモバスを全国約320ヶ所に走らせるなど受診しやすい環境づくりにも取り組んでいます。
全国を走るマンモバス
グループ会社の保健師による、病気の予防や生活習慣、栄養の知識やエクササイズ等をテーマとした健康セミナーを開催しています。また、全社員の7割以上が登録している健康アプリ「QOLism(キュオリズム)」では運動をテーマにしたオンラインセミナーや動画配信、食事・睡眠・ストレス等に関する情報提供をおこなっています。
毎年、全社員を対象としたセルフケア研修、管理職層を対象としたラインケア研修を実施し、実施後には理解度を確認するテストをおこなっております。更に2022年度は、包括提携先である国立精神・神経医療 研究センター理事長によるマネジメント層・社員向けセミナーをそれぞれ開催し、よりよい職場環境づくりに向けた未然防止策・疾病に関する正しい理解促進に取り組みました。
第一生命グループは女性社員の割合が高いことから、女性の健康も重要な健康課題のひとつと捉えており、女性特有の健康課題や治療に対する理解を深め、本人・周囲のリテラシーを向上させることで、社員が自分らしいキャリアを構築できるよう、各種セミナーを実施しています。ヘルスリテラシー向上をキーワードにおこなった女性の健康セミナーにおいて、参加者のヘルスリテラシーレベル(CCHL尺度)を計測したところ、セミナー前後で総合スコア平均が0.04ポイント上昇し、特に“情報の信頼度を判断できる”の項目が0.09ポイント(有意差あり)上昇していることが確認できました。
【2021-2022年度実施テーマ】
女性のがん / 子宮の病気 / 月経前症候群 / 月経困難症 /
男女の更年期 / 不妊治療・卵子凍結 / 男性更年期
【他企業との合同セミナー】
男女共通の症状が多い更年期障害を切り口に、外部専門家と経営層によるパネルディスカッションを織り交ぜたセミナーを他企業と共催し、性別・年齢を超えた幅広い社員が参加し、アンケートでは参加者の約9割が満足を得られています。
2016年度から、社員一人ひとりの健康増進取組みに対してインセンティブを付与する「ヘルスケアポイント制度」を導入しており、2021年10月にグループ会社が開発した新しい健康増進アプリ「QOLism」に移行し、全社チーム対抗戦等のウォーキングイベントの開催や、食事記録、腹囲計測、運動といった様々なコンテンツにより社員の健康増進を後押しています。利用者アンケートではアプリの活用により行動変容につながったとの回答が運動で89%、食事で71%を占めています。
毎月2のつく日(2日・12日・22日)を「禁煙の日」と制定し、禁煙の重要性を呼びかけるポスターの掲示など、禁煙の啓発活動を積極的に行っています。また、アプリを使った禁煙支援プログラムの提供や禁煙外来費用の自己負担額を全額補助するなど、禁煙を希望する社員への支援を進めています。
全社に掲示している禁煙ポスター
ストレスチェックの結果、高ストレス者に対しては医師による面談や保健師による相談を行うなど、社員へのストレスに関する意識付けやセルフケアを促す取組みをおこなうこととあわせ、不調者の早期発見や職場復帰支援の対応については、二次予防(不調者対応)、三次予防(復職支援・再発予防)に加えて、一次予防の施策として定期的な1for1※1の実施等を通じて、職場内のコミュニケーション向上を図り、イキイキわくわく働ける職場環境づくりを推進しています。
また、NCNP(国立精神・神経医療研究センター)が提供する「KOKOROBO(ココロボ)®」(スマホやパソコンを使ったオンラインによるメンタルヘルスケアシステム)を社内に周知し、メンタル不調の予防と不調のある方への早期手当のための対策にも取り組んでいます。
なお、当社はメンタルヘルスに関する課題解決により一層貢献すべく、NCNPとの協働プロジェクト「『全世代対応型遠隔メンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO-J)』によるメンタルヘルスプラットフォームの開発と全国実装拠点」に参画しています※2。
管理職を含めて一定の時間を超えて勤務している社員に対しては、産業医との面接で健康状態全般を確認するとともに、必要に応じて所属部門長と人事部が連携し、労働環境の改善に向けて努めています。あわせて、内部監査部門とも連携して、定期的なモニタリング等を通じて、適正な勤務管理を実施しています。
パンデミック等による緊急事態に備え、毎年社内にて感染症研修を実施するとともに、規程・基準書および行動計画、備蓄品等を整備しています。また、感染症法に基づき、結核、麻疹、風疹などの感染症が発生した場合の対応の基準を社内通達で発信し、感染拡大防止に努めております。
労働災害発生状況を分析した結果から発生リスク要因を特定し、全社員向けの教育を実施するとともに、職場巡視によるリスク把握、衛生委員会での調査・審議により労働災害の未然防止策を図っています。また、社員が業務上災害および通勤途上災害に遭遇した場合、的確かつ詳細に事故状況・本人の治療状況等を把握するともに、事故内容に即した適切な処置を指示し、担当部門あてに速やかに報告することを社規に定めております。会社は、報告内容を踏まえて、被災者本人にヒアリングを実施し、労基署あて所定の報告を行っています。
社員が気軽に相談できるよう、社内・社外に健康相談窓⼝を設置し、周知を図っています。
第一生命グループでは、健康診断やストレスチェック等の分析結果から把握した健康課題に対し、目標を定め、PDCAをまわしながら課題解決に取り組んでいます。それら取組みの最終的な評価指標に「アブセンティーイズム」「プレゼンティーイズム」「エンゲージメント」の3項目を設定しています。2022年度はエンゲージメント向上にむけた取組みも活発におこなわれ、総合スコアの改善につながっています。
当社では以下の具体的な取組みと実施状況ならびに社員の意識・行動変容を数値で経年で把握し、効果検証することでPDCAサイクルをまわし、実効性の向上を図っています。このうち、健康経営推進チームが定めた目標のある項目のうち、運動習慣者割合、喫煙率については改善傾向にあります。
厚生労働省の委託事業である「がん対策推進企業アクション」にアドバイザリーボードとして参画するとともに、先進取組企業(コンソ40)の両立支援分科会にも所属し、メンバー企業とともに、企業におけるがん対策の推進に力をいれております。
社員の健康増進に積極的に取り組む企業で設立した「Kenko企業会」に理事企業として会の運営に携わるとともに、健康経営推進分科会に所属し、メンバー企業との情報交換を通じ、健康経営に取組みの更なるレベルアップを図る活動もおこなっています。
これまでの取組みが評価され、2013年に厚生労働省主催の「第2回 健康寿命をのばそう!アワード※1」において、厚生労働省健康局長 優良賞を受賞しました。また、2015年に経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄※2」に、2017年~2023年に「健康経営優良法人(大規模法人ホワイト500)※3」に7年連続で選定されました。また、スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー※4」にも2017年以降連続で認定され、2023年はブロンズ+(プラス)に認定されました。
国内6ナショナルセンター(国立高度専門医療研究センター)すべてと連携し、3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)や糖尿病、肝炎、感染症をはじめ、妊娠・出産・子育てに関する成育医療、認知症などの長寿医療まで、幅広い世代向けにツールやセミナー等を通じて、健康・医療情報をお届けしています。2022年度は全国でセミナーを190回開催し、23,877名の方にご参加いただきました。また、全国の自治体と協働で、地域が抱えるさまざまな課題を解決するため、健康増進や高齢者見守り、子育て支援など多岐にわたる分野で、県や市町村単位での協定締結を推進し、連携を図っています。2023年3月末現在、42都道府県、市区町村レベルでも334の自治体と「包括連携協定」を締結し、各地域の社会課題解決に貢献しています。
健康増進アプリQOLismを活用し、社員が取組む健康増進活動によって貯まるヘルスケアポイントと、ECO Actionを通じて得られるエコポイントの合計数に応じて寄附金額を算定し、地域課題解決に寄与する企業・団体・自治体等へ寄附を行うことで、地域QOL向上に貢献していく取組みを実施してます。
エリアを代表するマラソン大会への協賛をはじめ、健康について考える機会や皆と一緒に走ることの楽しさを実感する機会等の提供を通じて、全国の市民ランナーと関係する皆さまの豊かで健康な人生を送ることができるという「well-being」の実現を応援しています。
「平均寿命と健康寿命のギャップ拡大」といった社会課題の解決に向けて、将来の医療費適正化や効率的な保健事業運営をワンパッケージで支援する健康保険組合向けサービス「Healstep®(ヘルステップ)」を提供しています。Healstep®(ヘルステップ)を導入いただいている健康保険組合は着実に増加しており、新たに事業主向けにも提供を開始しています。今後も健康保険組合や事業主のニーズに寄り添ったサポートの提供に取り組んでいきます。