林田栄養士はじめまして!マラソンをするにあたり、やっぱり食事が気になります。マラソン鍛錬期の食事で気をつけたほうがいいことはありますか?
林田
管理栄養士
鍛錬期は走行距離が増えて、身体へのダメージが大きいので普段よりも食事量や食事の質に気を付けることが大切です。4つのポイントをご紹介します。
練習中、お腹が痛くなったりするのですが、食事のタイミングが良くないのでしょうか??
林田
管理栄養士
食事のタイミングと内容を見直してみましょう。練習前の食事はスタート時間から逆算して2~3時間前に食事を済ませましょう。
食事内容は、理想的な食事は定食型をお伝えしましたが、練習前は消化の良い糖質中心の食品を選ぶようにしましょう。
消化に必要な時間は食材、料理によって異なります。
脂っこい料理、食物繊維の多い料理は消化に時間がかかるため腹痛の原因になります。練習前にこれらの食材は摂りすぎないようにしましょう。
選手たちは練習前に、親子丼やうどんなど消化の良い料理を食べて練習の準備をしています。
腹痛に関しては個人差があるので、食べた時間・食品を記録して練習時の体調を振り返ってみてください。
マラソンレース前日や当日の食事は何がおすすめですか?
林田
管理栄養士
レース3日前から当日の朝食までは糖質を多くとれる食事にしましょう。目的は身体にエネルギーを蓄えてレース中のエネルギー切れを防ぐためです。試合に向けて糖質の量を増やす食事法を「グリコーゲンローディング法」と言います。普段の食事に追加すると、全体の食事量が増えてしまい消化不良の心配もあるので、サラダの代わりにポテトサラダ、肉じゃがなど糖質を含む芋類のおかずにすると食事の全体量を変えずに糖質の割合を増やすことができます。
揚げ物など油の多い料理やおかずの量を控えて、味付けを少し濃くするとごはんが進みます。麺類は大盛にしたりおにぎりやお餅、パンを追加しても良いですね。
コンディション維持のためにビタミンC豊富な果物も追加しましょう。
前日は生ものや腸内にガスが溜まりやすい根菜類は控え食べ慣れたものを食べてください。
食事メニューの一覧を参考にしてみてください。
朝食 | 昼食 | 夕食 | |
---|---|---|---|
3日前 | フレンチトースト ゆでたまご コーンスープ バナナヨーグルト オレンジジュース |
うどん いなり寿司 キウイ |
混ぜごはん 鶏の照り焼き 大学芋 味噌汁 グレープフルーツ |
2日前 | ごはん 鮭の塩焼き 里芋の煮物 味噌汁 オレンジ |
トマトソースパスタ ロールパン ポトフ キウイヨーグルト |
ごはん 麻婆春雨 南瓜の煮物 味噌汁 りんご |
前日 | ごはん 納豆 肉じゃが 味噌汁 バナナ |
うな重 さつま芋のレモン煮 すまし汁 キウイ |
ごはん 豚の生姜焼き マカロニサラダ 味噌汁 オレンジ |
当日 | 【和食】 おにぎり 力うどん オレンジ カステラ 【洋食】 パン(ジャムorはちみつ) シリアル ゆで卵 バナナ |
林田
管理栄養士
レース当日の朝食は、主食(ごはん・パン・うどん・もち)+果物にして、消化の良いものを食べるようにしましょう。食べる量は腹8分目~9分目にすることも大切です。お腹いっぱい食べてしまうと、消化吸収をするときに内臓への負担が増え、レース中に腹痛を起こすこともあります。
試合前に初めて試すのではなくマラソン練習中に試してから本番に臨んでください。
レースの開始時間によっては早朝で朝食が食べられない場合もあると思います。あらかじめ簡単に食べられるものを用意しましょう。
【朝食が食べられない場合】
おにぎり、パン、カステラ、だんご、大福、フルーツ、果汁100%ジュース、エネルギーゼリー
疲労回復にはどのような食事をすればいいですか?(暑い日や距離走後はなかなか食べる気もおきません・・・)
林田
管理栄養士
糖質とたんぱく質、ビタミンB1を意識した食事が疲労回復を早めます。運動に使われたエネルギー補給に糖質、筋肉の修復に必要なたんぱく質、ビタミンB1は糖質をエネルギーに代謝するときに必要な栄養で胚芽米、豚肉、大豆製品、うなぎ、かつお、鮭などに含まれます。
アリシンという成分はビタミンB1の効果を持続させる働きがあります。玉ネギやニラ、ねぎ、にんにくなどの食材に含まれているので、ビタミンB1を多く含む食品と一緒にとると良いでしょう。
【疲労回復メニュー】
豚の生姜焼き、豚キムチ、餃子、タコライス、ビビンバ
練習後、食欲がない場合はのど越しの良い麺類を選ぶようにしましょう。
具沢山のメニューを選ぶと糖質、たんぱく質を一緒にとることが出来ます。
また消化吸収を助けてくれる食材をプラスするのがおすすめです。山芋やオクラ等のネバネバした食品には、消化吸収を促進する働きがあります。
【食欲がないときにおすすめメニュー】
冷やし中華、豚しゃぶうどん、ねばとろ丼(温玉、長芋、オクラ入り)
おすすめの追加食材~抗酸化食品~
抗酸化作用のある食品は激しい運動によって体内に発生した活性酸素を除去する働きがあります。過剰に増えた活性酸素は、疲労の原因になりパフォーマンスやコンディションにも影響します。
【抗酸化作用のある栄養素・成分を多く含む食品】
ビタミンC:パプリカ、いちご、みかん、キウイ
ビタミンE:うなぎ、鯖、南瓜、ごま、ナッツ
β-カロテン:南瓜、人参、ブロッコリー、ピーマン
リコピン:トマト、柿、すいか
食事のタイミングも意識できるとさらに良いですね。
疲労回復には糖質とタンパク質を同時にとると回復の速度が上がるので、練習後すぐに食事を食べられない場合はスポーツドリンクやプロテイン、牛乳などのドリンクを摂りましょう。その後、2時間以内にバランスのとれた食事をとるのがおすすめです
【参考文献】
・今より強く!を目指して~アスリートの身体づくりと食のエッセンス~ 公益財団法人日本映苦情競技連盟医事委員会
・エビデンスに基づく競技別・対象別スポーツ栄養 高田和子・田口素子編著
・理論と実践 スポーツ栄養学 鈴木志保子
林田 あや管理栄養士
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