第一生命の資産運用(一般勘定)

資産運用の基本方針『ALMの徹底による中長期的な収益の拡大』

長期・安定的な収益の獲得を目指した資産運用方針の策定

生命保険資金に求められる長期・安定的な収益を獲得するため、中長期の資産運用方針を策定します。また、中長期の資産運用方針の方向性を踏まえつつ、保険市場および運用環境の変化により柔軟に対応するため、当該年度の指針となる短期の資産運用方針を策定し、収益の一層の拡大を図ります。

生命保険の商品特性に応じた資産ポートフォリオの構築

保険商品は個別性が強いことから、商品特性に応じて区分勘定を設定し、きめ細かな負債情報の把握に努めています。その分析成果を、資産運用方針の策定や修正、実際の運用行動にタイムリーに反映することで、より商品特性にふさわしい資産ポートフォリオの構築(資産と負債の統合管理:ALM)を目指します。

安全性の確保に向けた厳格な運用リスク管理とその分析

生命保険資金の運用には安全性も求められるため、資産運用方針は厳格な運用リスク管理の基準に沿って策定されます。また、実際の運用行動および保有資産状況についても、日次での運用成果の計測・評価とリスク・モニタリングが実施されています。

公共性に配慮した資産運用

生命保険事業は、国民生活の安定・向上、経済の発展および持続可能な社会の実現に密接な関わりを持つ公共性の高い事業であることから、当社は収益性・安全性・流動性に加えて公共性にも配慮した資産運用を実施しており、その一環として、責任投資(ESG投融資、スチュワードシップ活動)を積極的に推進しています。

2023年度資産運用方針

2023年度の運用方針については、リスクテイク方針や中長期の資産運用方針に基づき、公社債などの確定利付資産を中心とするポートフォリオ運用を継続します。また、金融市場の変動に対する財務健全性の確保や資本効率向上のためのリスク削減取組も継続していくほか、収益性の確保とポートフォリオのリスク分散を強化するため、選別的なクレジット投資やインフラ分野への投融資、オルタナティブ資産・実物資産への投資なども積極的に取り組んでいく方針です。

資産の構成(一般勘定)

運用体制

生命保険の商品特性に応じた運用ポートフォリオを構築するために、「運用企画部門」は「商品事業部門」と共同で資産運用方針を策定します。「運用企画部門」は策定した資産運用方針に基づいて資産配分を行い、「運用フロント部門」は個別資産における銘柄選択や投融資を実行することで、各資産市場において相対的に優位な収益の確保を図ります。「リスク管理部門」や「審査部門」、「運用事務部門」では、資産運用に関わるリスク管理やパフォーマンス計測等を行っています。
また、運用基盤を強化するために、国内外の金融機関・運用会社等へのトレーニー派遣、ジョブローテーション等による人財育成を行っています。さらに「運用企画部門」「運用フロント部門」「リスク管理部門」「運用サポート」に専門性や経験を踏まえた人員を配置することで、安定的な運用を可能とする体制を構築しています。

運用体制

運用プロセス

当社の運用プロセスはPDCAサイクルを基本にしています。まず、「運用企画部門」「商品事業部門」において負債特性に応じた資産運用方針を策定し、この方針に基づいて資産配分や投融資を行います。次に、「リスク管理部門」と「運用事務部門」が運用成果と運用リスクの計測・分析を行い、その内容を「運用企画部門」「商品事業部門」にフィードバックします。「運用企画部門」「商品事業部門」はこのフィードバックを踏まえて、翌年度の資産運用方針の改善策を検討します。運用プロセスにおいて「商品事業部門」との連携が重要な要素として組み込まれており、常に負債情報を反映しALM運用を徹底する仕組みとなっています。

運用プロセス

資産運用リスク管理

資産運用リスクの定義

資産運用リスクとは、市場リスク(金利・株式・為替等の市場環境の変化により資産価格が変動し損失を被るリスク)、信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク)、不動産投資リスク(賃貸料等の変動により収益が減少する、または不動産価格の下落により損失を被るリスク)をいいます。

資産運用リスク管理の目的

当社の資産運用リスク管理は、中長期的観点でリスクとリターンのバランスに留意しつつ、資産の健全性を維持することを目的としています。

資産運用リスク管理体制

リスク管理統括部を資産運用リスク管理所管とし、市場リスク、信用リスク、不動産投資リスクを合わせた保有資産全体のリスクについて一元管理し、業務執行所管と連携してリスク管理を行う体制としています。また、定期的に開催されるERM委員会等において、経営層が各リスクに対する情報を共有化し、意思決定に資する体制としています。こうしたリスク管理機能の有効性・適切性は内部監査部が検証しています。取締役会・経営会議は、リスク管理状況の報告を受け、それに基づいて意思決定を行います。さらに監査役は、経営層をはじめとし、会社のリスク管理全般を対象に監査を実施しています。

◆資産運用リスク管理体制

資産運用リスク管理体制