医療ビッグデータ活用

より多くのお客さまに生命保険にご加入いただける仕組みの構築

コンピュータ(人工知能:AI)がプロ棋士に勝ったというニュースが話題になりました。これは、様々なプロ棋士の指し手の「ビッグデータ」情報を解析しインプットすることで、コンピュータが自ら有効な手段を選択できるようになり実現しました。

生命保険でも、この事例のように「ビッグデータ」の活用が進んでいます。例えば当社には、お客さま約1,000万人の健康情報と社外の医療関連情報を組み合わせた「医療ビッグデータ」を解析する技術があります。

一般的に生命保険会社は、会社が想定した発生率に基づきご加入いただけるか判断をします。ここに、医療ビッグデータの解析結果を活用することで、健康状態に応じた発生率をより正確に割り出すことができます。その結果、これまで「ご加入が難しい」「保険料の割増しなどの条件付きでのご加入」と判断していた方も、健康な方と同条件でご加入いただけるようになってきました。

また、ご加入時の利便性向上にも力を入れています。これまでは、申込の際に告知書などをご提出いただき、後日ご加入いただけるかご案内をしていました。しかし、「より早く加入可否を知りたい」「過去に持病で加入できなかったが現在加入できるか知りたい」というお客さまの声に応え、健康診断結果など所定の項目を入力すれば、健康状態に応じてその場で商品ごとのご加入目安を判定できる「ご加入目安ナビ(ご加入シミュレーション)」を開発しました。

「ご加入目安ナビ」は、日々お客さまと接する生涯設計デザイナーの営業端末にも搭載しており、健康診断結果などを組み合わせてご加入目安をその場でお示しできるようにしています。今後もこうした先進的な仕組みやサービスを開発し、より多くのお客さまのニーズにお応えしていきます。

発生率: 保険金や給付金支払い対象の傷病を罹患する確率

ビッグデータの活用に至るまで

ビッグデータの活用で、健康状態に応じた病気の発生率をより正確に割り出せるようになりました。加えて、この解析を通じて、普段あまり認識されていなかった傷病が大きな病気の発病に関わっていることなどもわかってきました。例えば関節症などが、脳血管疾患の発病に関係するという結果は医学的にも報告がありますが、興味深い事実です。

今後、こうした研究が進めば、個人ごとに将来発病する病気を予測できる未来も訪れるかもしれません。将来発症する可能性の高い病気が予測できれば、自身の健康に気を遣い未然に防止することもできます。当社では、こうした将来を見据えて「健康増進」に資する商品やサービスの開発を進めています。

なお、ビッグデータ解析は、どの疾病を研究対象とするかの「テーマ選定」から始まります。使えるデータ量や、解析することの生命保険にとっての意義も踏まえて決めていますが、ビッグデータ解析は試行錯誤的な要素もあるため実際に解析を進めても、必ずしも満足のいく結果が得られない場合もあります。そのため、アナリストと呼ばれる解析技術者とはテーマの選定などから頻繁に意見交換を行うことを心がけています。

このような経緯を経て第一生命では、専門技術と解析データをいち早く社内外で確保し「ビッグデータ解析」に取り組んでいるため、先に述べた大きな成果を先駆けて得られているのだと考えています。

特定の医学研究結果によるもので、確定されたものではありません。

契約医務部
医長中道 洋