鉢植え野菜で食卓に彩を

鉢植え野菜で食卓に彩を園田さん(57歳)はここ数年、鉢植え野菜に凝っている。都会の住宅密集地に住んでいるため「庭」と呼べるほどのスペースはないが、それでも置き方を工夫して、鉢植え20個ほど並べている。昨年から花粉症になった妻が、洗濯物を通年、室内干しに切り替えたことも栽培面積の増加につながった。始めた動機はただ一つ。たまたま友人の家で食べた採りたて野菜の味に感動したからだ。キュウリなど、収穫して数時間以内のものは味の違いが歴然としている。これまで野菜の味など無頓着であった園田さんであるが、とにかく感動するほど美味しいのだ。近所の園芸店で購入して植え付けたキュウリの苗も収穫が始まった。一株100円前後の苗から、うまく作れば鉢植えでもキュウリで15本、大玉のトマトで10個ほどの収穫が期待できる。
家庭菜園のためには、自治体などによる貸農園を使うという手もあり、大掛かりな栽培が楽しめる。しかし、果菜類の多くは毎年同じ場所で栽培すると、連作障害によって病気が発生しやすくなる。農薬を使えばある程度防げるが、それでは安全・安心な自家栽培の価値が半減する。その点、鉢植え菜園は毎年新しい土を使うので、病気も発生しにくいし、害虫がすぐに見つけられるから農薬は一切不要である。
体験の中から得た園田さんの心得として、新鮮さがハッキリと味の違いに出やすい野菜、長期間にわたって少しずつ収穫できる野菜を選ぶことが、栽培の楽しみをより大きくさせるようだ。草花を植える鉢よりも深鉢を使うこともポイントだ。朝食まえの一仕事に野菜を収穫して、食卓を彩ってみてはどうだろう。