最近、街中でおしゃれな中高年の男性を見かける機会が増えた。ちょっと前まではジーンズをかっこ良く着る初老の男性なんて、ほとんど見かけなかった。
人見さん(56歳)は、現役時代のここ数十年、平日はスーツで過ごす。休日に家でごろごろするときはゴルフウエアを着ている。人見さんは「下着からセーターまで妻が買ってきたものを着るだけ」という生活だが、似たような男性は結構多い。こんな現状では、退職してスーツを着ない生活になってから「おしゃれになろう」と思っても、戸惑うばかりでなかなかうまくいかない。
しかし、最近、様相が変わりつつある。クールビズ、ウォームビズの普及に伴い、ビジネスウェアのおしゃれの幅が広がった。中高年男性向けのおしゃれ雑誌も増えており、デパートのバーゲンセールでは、衣料品掘り出し物を一生懸命探す男性も少なくない。
総務省家計調査によれば、世帯主が65歳以上の世帯では家計費に占める交際費の割合が10.2%と、65歳未満の世帯に比べると、とても大きい。その一方、65歳以上世帯の被服・履き物代は月に7,465円で、まだまだ家計の3.0%に過ぎない。
「自分の年金が香典に全部消えてしまう」という声をよく聞く。これから続く高齢化社会。人付き合いは大切だが線引きも必要だ。これまでがんばってきたのだから、多少は自分のためにお金と時間を使ってもよいのではないか。今のうちから自分に似合うファッションを考え、おしゃれに気を遣うようになれば、外出も楽しくなり活動的にもなる。おしゃれな高齢者がいつも若々しく映るのも納得できる話である。