年賀状のスマートなリストラ

年賀状のスマートなリストラ土井さん(57歳)は2年前の年末、中村さん(70歳)から「身辺の都合により来年の年賀状よりお出ししませんのであしからず」という万年筆で丁寧に書かれた葉書をもらった。土井さんが20年以上前に地方勤務した際の先輩が中村さんで、すでに悠々自適の身。土井さんが転勤後も二人は年賀状を交換していたが、直接会う機会はない付き合いだった。土井さんは事情を詮索せずに了解した旨の葉書を出し、以来2人の交流はお互いへの感謝の言葉を最後に終わっている。
「年賀状は微妙な人間関係を示している」と常々土井さんは感じている。中には必ずしもその時のお互いの交流の深さにかかわりなく年賀状をやりとりする、いわば儀礼的なものが結構多い。最近、パソコン文字だけの年賀状をもらうことが多くなり、下手な字ながらすべて手書きを通している土井さんは一層その感を強くしている。
過去に職場を一緒にしたり、仕事やその他を通じて一時期交流があったが、もうすでに何年もかかわりがなく、会ったり話したりすることもない人とのやりとりも多い。その大半とはおそらくこれからも交流が復活することがないだろうと思われる。お互い、いわば惰性で年賀状を続けているケースがある。
一方では新しい交流も始まるので、このまま行けば年賀状は増える一方であるが、お金もかかることなので土井さんはどうしたものか悩んでいる。黙って出さなくして一方的に関係を絶つより、中村さんのようにお互いが了解してスマートにピリオドを打つことを、土井さんは来年に向けて思案しているところである。これもデフレ時代の「省事」の1つなのかもしれない。