シニア世代の「友活」

シニア世代の「友活」定年退職後、どのように地域に入って友人を作っていくか、いろいろな方法があるが、まずできるところから徐々に拡大していくことが成功の途である。
加藤さんは、60歳でいったん定年退職を迎えたが、子供の教育資金が必要だったため3年間もとの職場で働き、63歳で長年勤務した会社を退職した。
その時、まず感じたことは「会社時代はやることが決まっていたが、これからは自分でやることをすべて決めなくならなければならない」ということ。そこで、退職後の計画を練る中で「自分のやりたかったことから始めよう」と決心した。
学生時代から絵を描くことが好きだったので、まず、油絵をカルチャーセンターで受講したのである。それが終わると、地域の高校で油絵の公開講座があることを知り、すぐに申込みをした。さらに、それが終了すると、今度は教えてくれた高校の先生を中心としてサークルを作ってしまった。そのサークルが月2回のペースで今も続いており、これが重要なネットワークの1つとなっている。
児玉さん(62歳)は、60歳で定年退職した後、「地域の安全」を目的とする市民ボランティアに応募し、その中で講習会に参加して自分たちでグループを作っている。この仲間との交流が現在も続いている。
このように、身近な所からサークル活動、グループ活動を始めることで地域のネットワークが充実してくる。ただし、2人が口をそろえていうには「自分を飾らず裸の付き合いを心がけること。昔の会社の肩書きや、自慢話は御法度」。そして「ビジネスの場ではないのだから、相手を批判せず、違う意見にも耳を傾け、思いやりをもって接する」といった人間力こそカギとなるということ。
ところで、こうした地域のグループやサークルは深い人間関係にはなりにくそうだ。要するに「広く、浅く」がこうしたグループの特性であり、うまくやっていくためのポイントであることも理解しておいた方がよさそうである。