定年後の男の孤独

定年後の男の孤独今年の夏休みに入社以来の友人たち3人で旅をした沼田さん(58歳)。共に温泉に入り、部屋に3つ布団を敷いて夜遅くまで語り合い、とても楽しい旅だった。
沼田さんは、友人との旅行だけではなく夫婦で旅行することも多い。そのとき感じることは「圧倒的に多いのは中高年女性同士の組み合わせ。中高年男性同士はほとんどみかけないし、バスツアーで男性の二人連れは何とも妙な光景だ」とのこと。
最近、海外旅行などで増えている組み合わせは母と娘の二人連れ。パラサイトシングルの娘が母親の財布を当てにしてのケースもあるだろう。また娘が結婚している場合でも娘婿は旅行に行く時間的余裕はなく、母と娘の組み合わせが多くなるようだ。
一方、父と娘の組み合わせはどうだろう。うらやましく見える光景であるし、沼田さんも娘との二人旅をしたい願望はあるが、残念ながら娘が相手にしてくれないようだ。長年、家庭を顧みず娘との会話も怠ってきた報いか。そうなると中高年男性にとって最も望ましい組み合わせは夫婦のカップルに落ち着く。
しかし、夫婦の意識に関するいろんなアンケートを見ると、妻は夫と行くよりも友人と行きたいのが本音のようだ。「夫と行ってもつまらない。行きたい所、見たいものが夫と違う。夫とでは非日常性が味わえない」というのがその理由。
こうしてみると、男性は孤独でさびしいものだと思う。定年退職後は仕事仲間との人間関係は急速に疎遠になるし、地域の人間関係はもともと希薄である。仕事を離れた幅広い人間関係のネットワークを広げておくことが、セカンドライフをより心豊かなものにする上で重要なテーマとなろう。最近、おひとり様限定ツアーも人気があるようだ。沼田さんは、妻と仲よくしなければと思う一方、男性はある程度孤独を覚悟して孤独に強くなる訓練も必要だ、との認識を新たにした。