当社におけるESG投融資の手法は以下の通り定義しています。
ESG投融資手法 | 定義 | |
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投融資判断のプロセスにおいてESG要素を体系的に組込 | ||
ESG格付等が高い企業でポートフォリオを構築 | ||
特定の業種・企業等をポートフォリオから除外 | ||
サステナビリティ・テーマ型投融資 |
収益性を前提とした、社会課題解決に繋がるテーマを持った資産等への投融資 (環境・気候変動ソリューション投融資:上記のうち、気候変動問題の解決に資する投融資) |
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SDGs債等への投融資 | SDGs達成に資する事業を推進する国際機関・企業等への資金提供 (グリーンボンド・ソーシャルボンド・サステナビリティボンド等) |
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SDGs事業への投融資 | SDGs達成に資する事業(社会インフラ整備・環境保全等)への資金提供 | |
運用収益の獲得と社会的インパクトの創出の両立を企図した投資手法 |
<投融資を通じた社会へのポジティブ・インパクトの創出(インパクト投融資の定義について)>
当社は2017年度よりインパクト投融資を開始しました。社会課題解決に向けたビジョンや革新性などの判定基準に沿って案件選定を行い、社会的インパクトを定期的にモニタリングしています。
2022年度より投資商品の特性上社会的インパクトの特定・計測等を行う投資も「インパクト投融資」の対象とし、定期的なモニタリングを実施しています。
また、サステナビリティ・テーマ型投融資においても、社会的インパクトの計測を行い、発行体へのエンゲージメントを通じてインパクト開示を促していきます。
(※2024年3月末時点。当社と第一フロンティア生命の合算値)
サステナブルな社会実現への貢献に向けて、2030年3月末までの投融資目標金額(当社(DL)、第一フロンティア生命(DFL)合算)として、サステナビリティ・テーマ型投融資:累計5兆円、うち環境・気候変動問題の解決に資する投融資:累計2.5兆円を設定し、同投融資を推進していきます。なお、本目標はサステナブルな社会実現に向けた2030年までのグローバルな資金ギャップとDL・DFLの運用資産規模を踏まえて設定しています。
ポジティブ・インパクトの拡大に向けて、GHG削減貢献量を目標指標とするとともに、その他のインパクト測定に向けた手法の高度化に取り組みます。
サステナブルな社会の実現に向けて社会課題解決に資する資産への投融資であるサステナビリティ・テーマ型投融資を推進しています。
気候変動問題の解決、自然資本の持続可能性向上、QOL向上、地方創生・地域活性化、人権尊重・ダイバーシティ推進など、各社会解決に資する投融資の推進によって、社会へのポジティブ・インパクトの創出に取り組んでいます。
(2024年3月末時点:当社と第一フロンティア生命合算)
サステナビリティ・テーマ型投融資によって創出されたポジティブ・インパクトの計測に取り組んでいます。現状ポジティブ・インパクトが開示されている案件は限定的であるという認識であり、投融資先に対するインパクトの開示を継続的に促進することで、ポジティブインパクトの更なる拡大を推進しています。
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■グラミン・クレディアグリコル基金を通じたマイクロ・ファイナンス向けの融資 |
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2020年5月に、クレディ・アグリコル銀行東京支店を借入人とする、途上国のマイクロ・ファイナンス向けローンに、20億円の融資を行いました。本ローンで調達された資金は、グラミン・クレディアグリコル基金に提供され、女性活躍推進や経済発展に向けた支援を目指す現地のマイクロ・ファイナンス機関向けの融資に充てられます。 | ||
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■アフリカ開発銀行「フィード・アフリカ・ボンド」への投資 |
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2016年11月に、アフリカ開発銀行の発行した「フィード・アフリカ・ボンド」に約52億円を投資しました。フィード・アフリカ・ボンドにより調達された資金は、人口増加が見込まれるアフリカで重要な課題となっている食料の確保に向けて、アフリカ開発銀行が実施する農業・農業ビジネス支援事業に充てられます。 | ||
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■アフリカ輸出入銀行向け資金融資 |
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2022年3月に、アフリカ輸出入銀行向け融資を裏付けとするリパッケージ商品へ、約30億円を投資しました。本件によって調達された資金は、支援が急務とされている新型コロナウイルスワクチンの調達・供給支援等のアフリカ諸国における医療・医薬関連のプロジェクトに充てられます。当社は本件への投資を通じて、新型ウイルス感染症感染拡大の影響を受けたアフリカ諸国への支援を目的とするアフリカ輸出入銀行の取組みを資金面からサポートします。 | ||
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■アジア開発銀行が発行する「エデュケーション・ボンド」への投資について |
![]() 写真提供元:アジア開発 |
アジア開発銀行「ADB」が発行するエデュケーション・ボンドに約60億円を投資しました。オンライン学習教育の充実や、安価で安全なインターネット環境の構築などを通じて、アフターコロナにおける質の高い教育機会を増やすための取組みをサポートします。 | ||
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■アジア開発銀行「ジェンダー・ボンド」への投資 |
![]() 写真提供元:アジア開発銀行 |
2017年11月に、アジア開発銀行が発行する「ジェンダー・ボンド」へ約100億円を投資しました。ジェンダー・ボンドにより調達された資金は、アジア太平洋地域の女性活躍推進プロジェクトに使用されます。 | ||
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■豪州淡水化プラント事業向けプロジェクトファイナンスへの投資 |
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2017年12月に、豪州における大規模干ばつ発生や将来的な人口増に伴う水不足に対応するための世界最大級の海水淡水化プロジェクトへ約44億円を投資しました。 | ||
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■国内初となる屋根置き低圧分散型太陽光発電プロジェクトファイナンスへの投資 |
![]() 画像提供:㈱シェアリングエネルギー |
2024年10月、日本全国に分散する2,000件超の個人住宅を中心とした屋根置き低圧分散型太陽光発電システムへのプロジェクトファイナンスへ13億円を投資しました。当社は本投資を通じ、分散電源の創出によるエネルギーシステムの変革と再生可能エネルギーの普及を資金面からサポートします。 | ||
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■グローバル・ベンチャーキャピタルファンド(MPower Partners Fund L.P.)への投資 |
![]() 写真提供元:MPower Partners GP, Limited |
2021年5月に、グローバル・ベンチャーキャピタルファンド(MPower Partners Fund L.P.)へ投資を行いました。本ファンドは、テクノロジーの力で社会課題解決を目指すベンチャー企業支援を目的に、ヘルスケア/ウェルネス、フィンテック、次世代の働き方/教育、次世代の消費者、環境/サステナビリティを重点投資分野と定め、当該分野における国内外のベンチャー企業に対して投資を行います。 | ||
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■沖縄北部新テーマパーク「JUNGLIA/ジャングリア」プロジェクトへの投資 |
![]() 画像提供:㈱ジャパンエンターテイメント |
当社は沖縄県北部(今帰仁村・名護市)にて2025年に開業予定の「やんばる」の大自然を舞台とした新テーマパークに出資しています。当社は本事業への投資を通じ、沖縄北部地域への新たな観光拠点創設による観光消費促進・雇用創出をはじめとする経済力向上に向けた取組みを資金面からサポートすることで、地方創生・地域活性化に貢献していきます。 | ||
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■本邦初となるまちづくり事業を対象とする「ソーシャル・インパクト・ボンド」への投資 |
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2021年10月に、群馬県前橋市のまちづくり事業を対象とするソーシャル・インパクト・ボンドへの投資を行いました。馬場川通りの歩行者通行量の増加と周辺地域の活性化を目指します。 | ||
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■国際復興開発銀行が発行する「サステナブル・ディベロップメント・ボンド」への投資 |
![]() 写真提供元:©World Bank |
2022年4月に国際復興開発銀行が発行するサステナブル・ディベロップメント・ボンドへ約123億円を投資しました。本債券によって調達された資金は、発展途上国の気候変動対策を拡充するための広範な開発支援プロジェクトに充てられます。 | ||
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■アジア開発銀行が発行するブルーボンドへの投資 |
![]() 写真提供元:アジア開発銀行 |
2021年9月にアジア開発銀行が発行するブルーボンドへ約165億円を投資しました。本債券によって調達された資金は、上記計画に即した海洋生態系の保全・回復やブルー経済の持続可能な発展を支援するアジア開発銀行の取組みに供給されます。 | ||
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■アングリアン水道会社が発行する生物多様性保全を目的としたグリーンボンドへの投資 |
![]() 写真提供元:アングリアン水道会社 |
2021年9月にAnglian Water Services Financing PLC(アングリアン水道会社)が発行するグリーンボンドに約39億円を投資しました。本債券によって調達された資金は、湿地を活用した天然の水処理施設整備プロジェクトや、河川の流れや水辺環境を整備し自然河川の特徴を復元させることで、在来生物の生息を促すプロジェクトなどに充てられます。 |
当社は不動産投資においてもESG要素を組み込んでおり、環境に配慮した不動産開発やQOL向上に資するテナント誘致(保育所等)を推進しているほか、全国で多数保有する不動産を活用した社会課題解決に資する取組みも積極的に行っています。
・地域住民のQOLを高めるウェルビーイングなまちづくり“SETAGAYA Qs-GARDEN”
SETAGAYA Qs-GARDEN(東京都世田谷区)は、都内では希少となった豊かな緑の環境を有する約9haの敷地に、ファミリー向け分譲マンション、クリニックモール、学生向け住宅、サービス付き高齢者向け住宅、地域コミュニティ施設などを配し、多世代が居住し豊かに交流し続けることを目指しています。
地域住民交流イベントである「ウェルビーイングフェスタ」の開催、地域住民が主体となるワークショップやミニコンサート、ペットコミュニティの集いとなる「わんこデー」などの開催によるコミュニティ施設の運営、貸菜園などを通じて、多世代交流を促進しています。
今後も、地域住民のウェルビーイングを高めるまちとして継続的にタウンマネジメント活動を実施していきます。
取組みの詳細は、以下のリンク先をご参照ください。
(SETAGAYA Qs-GARDEN 全体マップ)
(ミニコンサートの様子)
(わんこデーの様子)
・木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビル計画
東京都中央区京橋において「木造ハイブリッド構造」を採用した賃貸オフィスビルの開発事業(2025年6月竣工予定)が、保険業界で初めて国土交通省の「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されました。
本事業は、国産材の利用を通じて資源循環と地域創生・活性化に貢献するとともに、建設時のCO2排出量削減に加え、約700トンのCO2固定化を実現し鉄骨造の標準建物に比べ約20%のCO2削減に寄与する計画です。また、内装材等への木材の利用を通じ、オフィスワーカーをはじめとする施設利用者の心身の健康増進や生産性向上に寄与することを目指しています。
取組みの詳細は、以下のリンク先をご参照ください。
(外観イメージ)
(低層部イメージ)
(内観イメージ)
・保有不動産における再エネ化の推進
当社は、2019年に国内生命保険会社として初めて、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアティブである「RE100(Renewable Energy 100%)」に加盟し、2022年度実績においてRE100を達成しました。また、GHG排出量削減への貢献度を更に高めるため、発電事業者からの再エネ直接調達などを通じて追加性のある再エネ調達を推進しています。
具体的には、当社のインパクト投資先であるクリーンエナジーコネクト社と協業し、以下取組みを実施しています。
取組みの詳細は、以下のリンク先をご参照ください。
・先端理系人財の育成に資する学生マンション
(東京理科大学野田キャンパス内)
TUSグローバルレジデンス(2024年4月運営開始)は、第一生命と東京理科大学が2019年3月に締結した包括連携協定にもとづき、産学連携による社会課題の解決に向けて整備した学生用マンションです。
留学生を含む入居学生のコミュニティ形成や、併設したインキュベーション施設を活用したイベント開催等を通じて、良質な居住・学習環境の提供とともに、将来グローバルに活躍する先端理系人財の育成、並びに地域・社会の発展に貢献します。
(入居者向けウェルカム・パーティーの様子)
取組みの詳細は、以下のリンク先をご参照ください。
・賃貸オフィスビルのオープンスペースを活用した地域活性化の取組み
D-LIFEPLACE札幌(2023年5月竣工)では、施設利用者や来街者の方々へ新たな賑わい・憩いの場を提供するため、チ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間)に接続するオープンスペースを整備しています。
このオープンスペースにおいて、アート・食・地域文化等の発信をテーマとして、地域の賑わい創出に取り組んでいるまち会社や自治体・企業とタイアップし、地域活性化に資するイベントを定期開催することで、札幌中心部のエリアブランディングへの貢献を目指しています。
D-LIFEPLACE札幌・オープンスペース
(通常時)
(イベントの様子 2024年10月)
取組みの詳細は、以下のリンク先をご参照ください。
当社では、運用収益の獲得と社会的インパクトの創出の両立を意図した投資手法であるインパクト投融資も積極的に取り組んでいます。インパクト投融資を行った企業については、企業の取組みや社会的インパクトの進捗状況を継続的にモニタリングしていきます。主な事例は以下の通りです。
<狭義のインパクト投融資の事例>
<広義のインパクト投融資の事例>
不動産投資ファンドを通じた学生マンションおよび認可保育所への投資 | 34億円 | 学生マンションや認可保育所への投資を通じて、待機児童の解消や女性の社会進出などの社会に対するポジティブ・インパクトの創出を企図 | ![]() |
待機児童の解消、女性の社会進出支援 | ![]() |
三井不動産株式会社向けサステナビリティ・リンク・ローンへの融資 | 20億円 | 学生マンションや認可保育所への投資を通じて、待機児童の解消や女性の社会進出などの社会に対するポジティブ・インパクトの創出を企図 | ![]() |
三井不動産グループ全体の温室効果ガス排出量の削減 | ![]() |
大和ハウスリート投資法人 | 40億円 | 大和ハウスリート投資法人は、物流施設・居住施設・商業施設及びホテル等の幅広い資産に投資を行う上場不動産投資法人で、環境に配慮した物件の取得や設備の導入を積極的に推進 | ![]() |
環境に配慮した不動産投資の拡大を通じた持続可能なまちづくり | ![]() |
当社は、各アセットの流動性や特性を踏まえ、全資産においてESGインテグレーションを実施しています。更なる高度化に向けて継続的に取組みを進めていきます。
気候変動にかかるリスクと機会について、投融資先企業の定量評価と定性評価を行い、企業とのエンゲージメント結果を考慮したうえで、スコアリングを実施しています。
具体的には、炭素税の大幅な変更などに伴う業績への影響度の試算(定量評価)、環境技術の有無など将来的なオポチュニティ(機会)などの勘案(定性評価)に加え、気候変動リスクへの取組内容やガバナンスなどをエンゲージメントにおいて確認し、評価しています。
国内株式のESGファンドでは、ガバナンスと気候変動の観点でのスクリーニングを実施したうえで、社内ランクを加味したポートフォリオの構築を行っています。
外国株式は2020年9月より、運用目標(ベンチマーク)にESG指数を採用し、外国株式インハウス運用全体でESGを考慮した運用を開始しました。
生命保険事業の特性や社会の持続可能性の観点を考慮し、ネガティブスクリーニングの対象を選定しています。
従来より石炭採掘事業および化石燃料による火力発電所関連事業をネガティブ・スクリーニングの対象としていましたが、石油・ガス資源開発事業と化石燃料の輸送・貯蔵事業などを新たにネガティブ・スクリーニングの対象としました。
一方で責任ある投資家として、既存の化石燃料事業の段階的な移行(トランジション)を支援していくことも重要であると考えており、トランジションに資する案件については、国際的に認められたネットゼロ・シナリオや脱炭素にかかる技術革新の状況などを踏まえて、個別に投資判断を行います。