老後資金使い切る覚悟が必要

老後資金使い切る覚悟が必要安藤さんは、昨年、定年を迎え現役を引退した。年金は、厚生年金、企業年金、個人年金を含めると月額25万円ぐらいになる。預貯金や生命保険の満期金、退職金等が2000万円あり、住宅ローンは完済している。
安藤さんはご夫婦とも旅行が好きで、定年後は海外を含め大いに旅行したいと思っていた。しかし、頻繁に旅行などすると年金だけでは賄いきれず、貯蓄を取り崩さなければならなくなった。「せっかく老後のために貯めておいたお金がドンドン減っていく。なんだか切なくて寂しい気持ちになるのです」。安藤さんは、思い悩んだ末、生活費を減らし、旅行等も控え、今の貯蓄が減らないようにした。
安藤さんは老後の夢を描き、いろいろ準備をしてきたが、わずか1年で出費が怖くなり、何もできない生活となった。これは「せっかく貯めたお金が、老後の生きがいや楽しみに使えない」というよくある例といえる。
さて、人生の目的とはいったい何なのか。それは「豊かで充実した人生を送る」こと。そのためには、「準備してきた金融資産はすべて使い切る」くらいの覚悟もあっていいのではないだろうか。
さらに、安藤さんに貯めたお金を使えない理由を聞くと「蓄えが減る不安もあるが、それ以上に子どもに残してやりたいお金が無くなるのが辛い」とのこと。
こういう場合は子どもに残すお金をきめて、それ以外は夫婦で自由に使うようにしてはどうだろう。また、いざという時に必要なお金も残しておくと安心である。例えば、500万円を子どもに、いざという時の緊急資金に500万円、とすれば残り1000万円が夫婦で使えるお金となる。このように資金の配分に少し気を配るだけで、セカンドライフはぐっとエンジョイできるものに変身できそうだ。