介護(ケア)する人をケアするネットワーク

介護(ケア)する人をケアするネットワーク|セカンドライフゼミナール「義母に何度も何度も同じことを言ってもすぐ忘れてしまうので、どのように対処してよいか悩み、ストレスがたまり、ついきつい言葉になってしまう。私たちのような介護にたずさわる人の心のケアをしてくれる人がほしい」。当研究所が在宅介護の実態を調査した際、認知症の老親を介護している芳江さん(55歳)がアンケート用紙に記入した介護の感想である。
この芳江さんのように介護にたずさわる人で、介護のストレスに悩まされている人は少なくない。在宅介護をする人の2人に一人が、高いストレスを感じているという調査結果もある。介護では、要介護者をいかにケアするかという点が第一の問題である。だが同時に、介護する人のストレスを和らげることも、切実な問題になっている。
介護する人が急病になった場合に、一時的に要介護者をみてくれる家族や近隣、友人がいれば、介護する人の不安感は和らげられる。また介護についての心配事や悩みの相談にのってくれる人がいることも大切である。芳江さんの感想のように「介護(ケア)する人をケアする人」が必要とされている。
在宅介護サービスの利用有無にかかわらず、介護する人は家族、近隣、友人のネットワークを必要としている。ケアマネジャー(介護支援専門員)等が専門知識・経験に基づき家族を支えるプロである一方、介護についてはアマチュアである家族、近隣、友人は、プロが対応しきれないような細かな精神面の支援など、いざという時の強い味方になる。この調査結果が示唆するのは、介護支援にはプロとアマ両方の協力が欠かせないということだ。