認知症への備え

認知症への備え木下さん(70歳)は、会社を10年前に定年退職、現在は妻と都内の団地で悠々自適の生活を送っている。現役のころから健康関連の話には関心を持っていたが、退職後は一段と健康管理に力を入れ、妻もあきれるほどの健康マニアである。
先日、次男の嫁が遊びに来たとき「実家の父親(72歳)が軽い認知症になっている」との話があった。 嫁が帰った後、パソコンで認知症について調べたところ、高齢者の約7人に1人が認知症であるとのこと。木下さんや妻にとっても他人事でなく、からだの健康同様に認知症への備えも大切なことをあらためて感じた。
ついでに木下さん自身ができそうな予防法について調べたところ、認知症予防教室を運営する自治体があることがわかった。あいにく木下さんが住んでいる区では運営していなかったが、予防教室の講義内容や発症を遅らせる効果のある事例が紹介されており、参考にできそうなヒントをみつけた。
例えば、「日記をつける際に1日遅れで記録する」「園芸を行うなら、季節ごとの計画や育成記録を作成する」「作ったことがない料理のレシピにチャレンジする」等々。
さらに木下さんが日課としているウォーキングも、(1)脳の中で認知症に関係ある箇所の血流が増し、脳の働きが活性化する (2)認知症の最大原因であるアルツハイマー病を引き起こす物質が出来にくくなる (3)高血圧等が改善され脳血管性の認知症予防になる、ということで推奨されていた。「ひょっとしたら既にウォーキングの恩恵を受けているかも」と一安心した木下さんは「妻にも何かやってもらおう」と思い立った。「介護ヘルパーをしたこともある長女なら、妻の機嫌を損なわないで認知症予防の説明ができるだろう」と、今から思いをめぐらせている。