公的サービスを活用しよう

公的サービスを活用しよう地域の広報誌を注意深く見てみると、県や市が主催する高齢者セミナー、各種イベント、住民参加の委員会などが盛り沢山だ。
土本さん(63歳)は通信会社を60歳で定年退職したが、それまではほとんど無趣味。退職後、広報誌を通じて市主催の高齢者セミナーに通い始めた。環境問題をテーマとするものだ。大学の先生や研究機関の専門家を講師として、毎週土曜日2~3時間受講する。これを受けたとき自分が日頃感じていた疑問が大変分かりやすく説明され、すっかり虜になってしまった。講座は4カ月で一応終了するのだが、そのまま次の講座を継続受講。熱心な受講態度でいつしか中心的な存在となり、翌年にはついに運営委員を引き受けてしまう。20人くらいのメンバーで、月一回の打ち合わせだが、企画を立てたり、講師を選んだり。さらに、この会議の後の飲み会が楽しい。
これに味をしめてW大学のオープンカレッジを受講し、そこでのOB会も組織している。昨年からは生涯学習市民会議の運営委員を始めている。ここには、大学教授、弁護士、元校長など多彩な人が加わり、土本さんの重要なネットワークとなっている。
もう一つ、カルチャー講座とは異なるが、市の政策に意見を集めるための市政モニター制度も注目される。鶴田さん(65才)と手島さん(61歳)は、それぞれ一年間のモニター任期を終えた後、自分たちでOB会を組織し、ネットワークを作ってしまった。それぞれ勉強会・研究会を継続しており、機関誌や提言書を作成して社会に参加している。一つのネットワークのモデル例である。
地域には公的機関の様々な制度やサービスが用意されている。これをうまく活用すれば、経費はごくわずかで、新しい地域ネットワークを作る場として利用できそうだ。