息子の結婚

息子の結婚野川さん(65歳)は、サラリーマン人生を終え、セカンドライフを歩み始めたところである。野川さんには35歳の息子がおり、今年6月に結婚予定である。野川さんは、息子の結婚年齢を自分の結婚年齢と同じく30歳前後だろうと考えてきた。しかし今や晩婚の時代。計算が外れた。
計算外れはそれだけではなかった。息子は、「結納の儀なし、披露宴なし、仲人もなしのナイナイづくしにする」と申し出たのである。その代わり、ホテルのレストランで両家の顔合わせをし、近い親族と大切な親友だけを招いての簡単なパーティーを執り行うというのである。華々しい披露宴しか出席したことのない野川さんにとって、この申し出は受け入れ難かった。
野川さんの息子カップルのように、挙式について、これまでの形式や豪華さよりも「出席する人にいかに満足してもらえるか」にこだわるケースが増えている。 野川さんも二人の話を聞くにつれ、小さくても心のこもった式をしたいという息子側の意向を尊重し、喜んで出席することにした。
さて、今日の両家の合計結婚資金(結納金・挙式・新婚旅行等)は約460万円(結婚情報誌ゼクシィ調べ)。親・親族からの援助は両家合計で約180万円(同上)。野川さんは息子の結婚資金として200万円を確保してきた。社会人歴12年の息子は、「簡易な結婚スタイルにして、これまでの貯蓄は新生活の準備資金にまわしたい」という。話し合いの結果、野川さん夫婦からは、両家の顔合わせとパーティーにかかる資金等として100万円を出すことになった。
それでは、貯めておいた残りの100万円はどうなったのか?息子の門出に必要な支援はとりあえずしたのだから、残りは野川さん夫婦のセカンドライフを豊かにするため、夫婦で海外旅行に出かけることにしたそうだ。