生命保険会社の損益計算(せいめいほけんがいしゃのそんえきけいさん)

生命保険会社は、ご契約者から払い込まれた保険料を収入し、保険金や給付金・年金を支払い、事業費を支出します。また、保険料などを運用して収益を得ます。

一般事業会社の場合、通常は、先に材料、商品の仕入れ、労働力などの資本投下(費用)がなされ、製品、商品を売り上げて資金を回収(収益)します。損益計算書は、こうした資金の流れを一定期間に区切り、損益の発生原因を明らかにして、関係者に経営成績を報告するものです。損益の計算を行う場合、原則として、その期間の収益に対し、その収益を得るために要した費用だけをその期間の費用として認識し、差し引いて利益を計算します。これを費用収益対応の原則といいます。
ところが、生命保険商品は、10年、20年あるいは終身といった非常に長期の契約期間にわたって、保険料収入や保険金・給付金・年金の支出が生じます。したがって、ある1年間に販売した生命保険商品に関する収支(契約が終了するまでの間の収支)は、事業年度ごとの決算で表すことはできません。生命保険会社は、生命保険商品を販売することで皆さまの死亡、生存や健康に関する保障についてのリスクを受け入れ管理する事業ですが、生命保険会社の事業年度ごとの決算(損益計算書)は、上記のような一般事業会社の決算と異なり、そのリスク管理の結果、1年間で予測(予定率)と実績の差がどの程度生じたかを表しているものだといえるでしょう。
また、生命保険会社の損益計算書は、一般企業のように営業損益と営業外損益といった区分はなく、保険に係わる損益と資産運用に関する損益およびそれ以外の経費といった区分がなされています。
なお、生命保険会社の損益計算書には、「経常損益(経常収益・経常費用)」と「特別損益(特別利益・特別損失)」、株式会社の場合は「契約者配当準備金繰入額」などが記載されており、各損益の項目については、保険料等収入、責任準備金等繰入額などの生命保険会社固有のものがいくつかあります。

出典 : (社)生命保険協会発行「生命保険会社のディスクロージャー虎の巻2007年版」より