多様投資実践

お預かりした資産を確実に運用するとともに
社会にも貢献

当社では、日本銀行のマイナス金利政策を含めた量的・質的金融緩和政策が維持されることにより、当面は国内の低金利環境が継続しやすいと見込んでいます。そのため、国内債券の購入を抑制する一方、比較的収益性の高い外国債券や、インフラ投資などの新規分野への投資を拡大し、収益向上とリスク分散を図っています。例えば、世界各国の為替と金利の見通しに沿って、外国債券の投資対象を比較的金利の高い新興国まで広げており、2017年3月末現在で、世界35カ国・23通貨まで投資対象を拡大しています。

比較的値動きが大きい新興国債市場への投資では、与信管理などのリスク管理態勢の整備が極めて重要です。当社はこれをいち早く準備してノウハウを獲得してきたことで、投資対象を拡大することができました。この結果、低金利環境が続く中でも4年連続の順ざやを確保しています。

また、機関投資家としての社会的責任を踏まえた投資(責任投資)の一環として、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)に関する要素を考慮したESG投資にも積極的に取り組んでいます。例えば、国際開発金融機関が発行する社会貢献型債券への投資を通じ、資金面から支援を行っています。こうした投資にあたっては、収益性の確保に加え、発行体の資金調達ニーズを迅速・的確に把握する必要があります。そのため、発行体と積極的にコミュニケーションを取り、社会貢献の視点と収益性の両面で魅力的な債券を選別して投資しています。その一環として2016年度には、主にアジア太平洋地域における保健衛生支援を目的にアジア開発銀行が発行した「ヘルス・ボンド」の全額約110億円を当社単独で引き受け、投資しました。

今後もこうした新しい取組みにチャレンジすることで、収益性と安定性の両方を実現する資産運用を行いながら、機関投資家として社会への責任を果たしていきます。

社会貢献型債券:発行体が債券発行により調達した資金の使途をあらかじめ社会貢献に関連した目的に限定して発行する債券

新規分野への投融資拡大

当社は、先ほど紹介したような外国債券の投資対象の拡大に加え、株式・債券といった伝統的資産との相関が低い新規分野への投融資を通じて資産運用高度化を推進しています。

具体的には、プロジェクトファイナンスなどのインフラ分野への投資や、航空機ファイナンス・物流施設といった実物資産への投資を行っており、今年度は、「中東地域におけるプロジェクトファイナンス案件への投資」や「トルコ共和国における病院設備運営事業に対する投資(当社初となる海外プロジェクトファイナンスのプライマリー案件への参画)」を実行するなど、新規分野投資の対象分野・対象地域の拡大に取り組んでいます。

以上のような運用収益力の向上を通じ、お客様の期待に応え続けていきます。

外国債券部
アシスタントマネジャー宮内 祐季